写真から寿司を生成するためのメモ

フォトグラメトリはやべぇ技術だと思うんだけど、なんか気軽に使うには敷居が高いように見えるので、出来る範囲で Tips とか書きます。

[比較] Reality Capture vs. 3DF Zephyr (Photoscan もちょっとあるよ)

一ヵ月間 Reality Capture のライセンスを買ったので、3DF Zephyr との比較をします。

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2018/06/06: ライセンスも切れたので清書

※ 以下は個人の感想です。

価格

 3DF Zephyr と Photoscan に比べて、Reality Capture は高いです。

  3DF Zephyr Reality Capture Photoscan
ライセンス形態 買い切り(アップデート1年間) サブスクリプション 買い切り(Ver.1.9.x までアップデート)
安価なエディション €149(Lite) €99/3month(Promo) $179(Standard)
高価なエディション €2400(Pro) €4000/1year(PGM), €15,000/1year $3499
無料版の主な制限 写真枚数50枚まで 保存/出力が出来ない 保存/出力が出来ない

写真測量の傾向

3DF Zephyr

一言で言うと、適当。

  • Reality Capture では写真の位置推定が失敗するようなケースを救う事が多い
    (その際の成果物の出来は微妙なんですが…)
  • ただし、Reality Capture では綺麗に全体を立体化できるケースで上手く立体化出来ない場合もある

  • (高密度)点群が作れない部分は、何とか立体化しようとして謎の物体を生成する

Reality Capture

一言で言うと、厳格。

  • 写真の位置推定は位置が正確だが、失敗しやすい
    「Detector Sensitivity」が Low 設定でも Zephyr のデフォルトより厳しい
  • Zephyr よりスパイクの少ない綺麗な形状を出力する傾向が強い
  • (高密度)点群が作れない部分は無かったことにする(ex. 写真に映っていない場所、特徴のない単色塗りつぶしの物体)

 Photoscan (ちょっと使った程度の印象)

  • 写真の位置推定の精度が非常に悪い印象。多くの写真の位置を推定するが位置を間違えることが多い

写真の位置推定の結果が微妙なので、そこから先に進めないことが多く、今のところ「使えない」という感想です。

チュートリアル

3DF Zephyr の方が圧倒的にわかりやすい。
というか、Reality Capture はみんなどうやって使いこなしているの?という感じ。

ツールの Help を読めばなんとかなることもある

Photoscan は PDF のユーザーマニュアルがあるんですが、それだけではかなり足りないです…

速度

場合によって大きく異なるが、印象としては Reality Capture の方が高速。
特に Align Images (Zephyr における低密度点群生成) が高速で、再撮影が必要かの判断が付きやすい。

2018/05/12 追記
「自動車」くらい大きくて複雑な形状だと、Reality Capture の方が遅かった。
対象によって処理速度の差はマチマチなので、比較しづらいところ。

処理速度は、小物をスキャンする限りではだいたい以下の通りです。
(「写真の枚数」、「対象の大きさ」で結構変わることに留意)

  • 写真の位置推定: (遅い) 3DF Zephyr > Reality Capture > Photoscan (速い)
  • 高密度点群、メッシュの生成 : (遅い) Photoscan >> 3DF Zephyr ≒ Reality Capture  (速い)
  • モデル出力: (遅い) Reality Capture > Photoscan > 3DF Zephyr  (速い)

機能

長く使っていてわかっているのも大きいが、Reality Capture より 3DF Zephyr の方が機能が豊富。
※ Photoscan はまだ良く判っていません。

  • Reality Capture だと不可分っぽい、高密度点群とメッシュの生成が別で、点群を削れる
  • 点群を色指定で選択することが出来る
  • 写真のマスク処理補助ツール「3DF Masquerade」の存在
  • UV 展開を別の DCC ツールで行える
  • 動画を連番PNGにしてくれる機能がある

動画とマスクについては、Zephyr で処理して Reality Capture で使用することもできます。・・・出来ました

Sketchfab にアップロードして比較

フォトグラメトリで一番気になるのは、スキャンしたモデルの精度だと思いますので、3DF Zephyr と Reality Capture で同じ物体をスキャンし Sketchfab で確認できるようにしておきました。

※ Photoscan は直接アップロードが出来ないみたいだし、上手く立体化できない場合が多いので割愛。

比較条件

  • デフォルト設定
  • 不要なメッシュ(ゴミ、要らない地面)だけ削除
  • テクスチャ解像度は 8192 x 8192

Reality Capture については、Sketchfab にアップロードするとかなり劣化するのでスクショも添付します。
(Sketchfab の通常版は1つのモデルが 50MB までの制限)

イチゴのタルト

3DF Zephyr
Reality Capture

StrawberryTart(Reality Capture)by okajimaon Sketchfab

※ Reality Capture の Sketchfab にアップロードする前はもっと綺麗です。

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切り株

Reality Capture で断面が盛り上がっているのは、写真が足りないことに起因するかもしれません。

3DF Zephyr
Reality Capture

Tree Stump(Reality Capture)by okajimaon Sketchfab

※ Reality Capture の Sketchfab にアップロードする前はもっと綺麗です。

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いちごとホワイトチョコのエクレア

3DF Zephyr
Reality Capture

Eclair of strawberry and white chocolate(RC)by okajimaon Sketchfab

※ Reality Capture の Sketchfab にアップロードする前はもっと綺麗です。

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公園の水飲み場

  • 蛇口は光沢があり再現しづらいようですが、比較すると Reality Capture の方が得意のように見えます。
    (頂点数が多いので RC の方が綺麗なのは当然とも言えます。)
  • 蛇口の取っ手を綺麗に再現できているのも RealityCapture。
    Zephyr の設定で取っ手が丸にならないようできるかは要調査
3DF Zephyr

公園の水飲み場(フォトグラメトリ習作/Zephyr)by okajimaon Sketchfab

Reality Capture

 

ミックスピザ

  • 3DF Zephyr は油の光沢がテクスチャに反映されてギラギラした印象。
    Reality Capture はテクスチャには反映されないようで乾いた感じになる。
  • 光沢はテクスチャに書き込まれると厄介なので、後工程を考えると Reality Capture の方が扱いやすそう。
3DF Zephyr
Reality Capture

狛犬

静岡県富士宮市にある、富士山本宮浅間大社狛犬です。

※ 撮影機材の関係上、頭頂部を撮影できておりません。

3DF Zephyr
Reality Capture